病気

20210531

FROM 川畑のぶこ

今日は、あーちゃんさん(50代・女性・会社役員)のご相談にお答えします。

【Q】
私は献身的で、
周りを甘やかしてしまう欠点があるようです。
なんでもしてあげたい自分がいます。

主人と子ども3人の5人家族です。
長男は32歳で一緒に暮らしています。

私はこのまま家族5人で暮らしたいと望んでいますが、
20歳になった末っ子が
長男のことを「子どもは外に出すべきだ」と言います。

「嫌がっても出してあげるのが自立だ。
自分もちゃんと自立を考えている」と言います。

長男は私の連れ子のため、一度家を離れたら
帰って来られなくなるのでは?と、私は不安です。

主人は長男を、結婚当初は可愛がってくれましたが、
下の子が産まれてからは口をきかなくなり
20年が経ちます。
自分の子と格差ができてしまった、と主人は言いました。

無視されている長男を不憫に思いましたが、
長男も仕事をするようになったら自立すればよい、
と思っていました。

ですが、本人は、仕事を始めて給料があっても、
一人を望んでいないようです。
自立しない理由を、長男は、家事が困ると言います。

それならば、もともと私が毎日家事をしているのだし、
長男も一緒にいればよいと思うのですが、
それは甘やかしでしょうか。

彼の仕事のシフトを、私は知りません。
朝は自分で起き仕事に行き、
帰りに翌日のお弁当を買ってきます。

食事はたまに一緒にする程度ですし、
部屋掃除もしてやってはいないので、
これもれっきとした自立だと思うのですが…。

仲の良い末っ子が大人になった発言に驚き、
考えさせられました。

やはり、男子は外に出した方が良いですか? 
私が思う自立は甘いでしょうか? 

親の離婚で、5歳で父を失い、5年生で私が再婚し、
数ヶ月で義父と交流のなくなってしまった長男を、
私は不憫に感じています。

自分から家を出たいと言わないうちは、
そばにいて欲しい自分がいます。

長男を幸せにしたいです。
どうしたらよいでしょうか? 

 
【A】
ある対象に対して両価的な感情を持ったり、
そのような態度を取ることを
心理学用語で「アンビバレンス」と言います。

息子さんへの溢れる愛がある一方で
ご自身の問題にも気づいていて、
どうしていいかわからない……
そんな、あーちゃんの苦しみが伝わってくる
ご相談だなぁと思いました。

家事が困るということをだけを理由に
自立しないというのは、もしかしたら、
自分の息子を近くに置いておきたい
あーちゃんの理由になっていませんか?

育児の最終的な目的は、子どもの自立です。
親が子どもを自分の思い通りにすること、
あるいは、子どもが自分を満たしてくれるような
働きかけをすることではありません。

続きは、ビデオでお話しします……

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20210524

FROM 川畑のぶこ

今日は、しらすさん(30代・女性・看護師)のご相談にお答えします。

【Q】
母が末期がんで亡くなりました。

私は、本人の思いや意思を支えたいと思って、
そこだけは同じ方向を向きたいと思っていました。

ですが、私の言動は母を優先しすぎている。
一緒に生活してるのは父なのだから、
父の気持ちをもっと思いやれ、
ひとりよがりの言動はやめてくれと家族に叱責されてしまい、

父の想い=母にとってもよい選択という関わり方に、
くやしさと、苦しさ、家族から孤立した感覚をぬぐえないまま、
家にいたいという母の願いは叶わず、
自宅ではなく病院で最期を迎えるという結果になりました。

私と母は同じ看護師で、病気と向き合うこと、
生きることの価値観が父や姉弟とは違ったのだと思います。

ですが、人生の最期を母が望む形で迎えられなかったことに、
後悔と家族を恨めしく思う気持ちが湧いてきて苦しいです。

家族をとても大切にしてきた母の思いを
踏みにじっているような気持ちにもなり、
家族とは距離を置いてしまっています。

このままでは良くないと思い、話をするのですが、
話の途中でやっぱり理解してもらえないと感じてしまい、
責められている気持ちにしかなれず、
気持ちを立て直せずにいます。

気持ちを少しでも切り替えて対話していくには
どうしたらよいでしょうか?

 
【A】
ナイチンゲールの精神を感じられる医療者、看護師としての、
しらすさんのとても誠実な姿勢が伺えます。
そして、お母様への深い愛が伝わってくるご相談です。

これは、本当に難しい問題ですね。
お母さんと同じ病気を体験していない家族は、
本当の意味でお母さんの気持ちはわかりようがありません。

病人にとって何がベストなのか、
しらすさんのように職業でトレーニングされているわけでもない
素人にとっては、試行錯誤の連続だと思います。

とりわけ、お母さんのいちばん近くにいるお父さんにとっては
とてもショックが大きく、負担も重い出来事ですよね。

そんなお父さんは、「第二の患者」でもあります。
お父さんも患者であると考えたとき、
意見が異なる家族・兄弟はどうしていくべきなのか、、、

そこには、相互理解、相手の立場を理解するという姿勢が
とても大切になってきます。

続きは、ビデオでお話しします……

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20210301

FROM 川畑のぶこ

今日は、ふうらいえきさん(40代・主婦)
のご相談にお答えします。

【Q】
私の父は現在83歳。
昨年10月、前立腺がんが発覚して、治療中です。
 
悪性の中の悪性と言われ、主治医の先生には
もう治らない、手術もできない、
飲み薬で抑えながら、効かなくなったら
薬を変えながらやっていくしかないといわれました。
 
そして、今、血液検査の数値が良いので、
次から放射線治療を60日くらい毎日やっていくといわれ、
父はそのようにすると、言っています。
  
父は、骨に転移して痛みがでて辛くなるのは嫌だと、
不安な気持ちでいます。
 
私は、他に方法はあるはずだと思っています。
もちろん、父の穏やかに過ごせる気持ちが最優先だと
思ってはいます。良い方法があれば、教えて下さい。
 

【A】
お父様が83歳で前立腺がんがわかって治療中とのこと。
お歳のこともあって、ふうらいえきさんが
とても心配されていらっしゃるご様子が伝わってきます。
  
実は、私自身も、父が80を過ぎて胃がんがわかって、
肝転移もわかって…なんていうことがありましたので、
ご家族のお辛い気持ちは、とてもよくわかります。
 
まず、治療をどうしたらいいかということに
ついてですが、これは本当に正解がありません。
 
がんに関しては、
一人一人、治癒の道というのが全く違います。
 
お父さんにとって正解の道が
他の人にとっては不正解だったり、また逆も然り。
副作用がある人もいればない人もいます。
 
もし、お父様が放射線治療をするとしても、
副作用がなければ、それはそれでいいわけですよね。
 
効く部分だけ効いて、
副作用がなければいいのだと思うのですが、
 
おそらく、ふうらいえきさんは、
放射線治療なんかすると、
きっと体力が低下してしまって、
QOL(人生の質)が低くなってしまって、
 
お父さんも家族も辛い思いをするんじゃないだろうか……
こんな不安があるのではないかと思うのです。

ただ、放射線治療も、
痛みに関しては効いたりしますから、
痛みを取ることでお父様のQOLが上がる
ということもあり得るわけです。

ですから、治療に対して、もし不安があるのであれば、
ふうらいえきさんご自身も、放射線治療医と、
いったいどういう効果があって、どういう副作用があって……
という話を、納得のいくまでされたらよいと思います。

そして、最終的に何をするかを決めるのは、お父さんです。
お父さんが決めた結果がベストです。

ですが、場合によっては、周囲の者、特に家族にとって、
お父さんの選択が不都合なこともあるわけです。

そして、家族の想いを伝えれば伝えるほど、
時として、それが混乱を呼び起こしてしまい、
心の苦痛にもなってしまって、
サポーターと患者さんとの関係性が泥沼化してしまう……
などというのも、よくあることです。

真のサポートとは、
「相手が望む結果」をサポートするということ。
「私が出して欲しい結果」をサポートすることではありません。

続きは、ビデオでお話しします……

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202101018

FROM 川畑のぶこ

今日は、えみねむさん(60代・専業主婦)
のご相談にお答えします。

【Q】
いつも拝読しております 心に響き、腑に落ち、
納得でき、前向きに生きる力を頂いております。

3年ほど前から習い事に通っています。
数年前から、他の場所でも
いろいろ学んでおりました。

今いるクラスで一緒のA子さんは、
私がいろいろ知っていることと、
私の性格が穏やかであることなどからでしょうか、
すぐに話しかけてきて、友達になりました。

それだけならよいのですが、
だんだんと私を独占して、いつも私を側に置き、
私の行動を支配するようになってきました。

あるイベントで、
クラスが二分される事件が起こりました。

すると、A子さんがまとめ役を買って出ました。
私は友達として、
そのまとめ役の補佐をやっていました。

ところが、A子さんは
自己都合で突然それを降りたのです。
そして、彼女と私は
クラスから疎外されてしまいました。

A子さんは、とても熱心で勉強家で、
尊敬しています。しかし、最終的には、
自分のためだけに頑張っていて、
人を選別して、上に上りつめたいだけで、
私を友人だと言っていましたが、
結局、私を利用していただけなのではないか
と感じるようになりました。

私は友達として、時には励まし、
悩みは相談にのり、助言もしてきました。
私の知識を、惜しみなく提供してきました。

しかしながら、A子さんからは
その半分も返ってきていないことを、
悲しく思うようになりました。

彼女は、私がクラスで目立つことを嫌います。
私を励まさず、相談にものらず、
自分だけの新しい知識の提供もなく、
ひたすら一番をめざしています。

クラスに素敵な先生がいらっしゃるのですが、
その先生を独占しています。

「してあげたことは忘れて、
受けた恩は一生忘れるな」と言われたりしますが、
私は小さな人間なのでしょうか?

先日、習い事は卒業式を迎えました。
クラスは同窓会として存続されます。
また顔を合わせることもあるかと思います。

私は、この経験をどう受け止め、
また、A子さんとどのような顔で
付き合っていけば良いのでしょうか?

【A】
えみねむさん、とても真面目で、
嫌な相手にもちゃんと向き合おうとしている
姿が浮かんできます。

習い事自体は終わられたとのことで、
それはよかったですね。えみねむさんも、
肩の荷が下りたのではないでしょうか。

ただし、えみねむさんが
内面的に抱えていらっしゃる課題自体は
この段階でクリアしておかないと、
今後、A子さん以外とであっても
似たような状況になったときに、
同じような行動をしてしまう可能性がありますね。

相手を思いやるとか配慮するということは
どういうことかということを、
もう一度本質的に考えてみるとよいと思います。

A子さんにはA子さんなりの課題があります。

欲しいものを独占して、いつも一番でいて、
目立っていたい。
そうでないと自分自身が不安で、満たせない、
自分にOKを出せない、そのような価値観を
育まざるを得ない状況がこれまでにあったのでしょう。

そこに、えみねむさんが、
付き合わ「ねば」いけないのかというと、
そんなことはありません。

A子さんのことを本当に思うのであれば、
ずっとA子さんに合わせることが良いことなのか
というと、そうではないのです。

続きは、ビデオでお話しします……

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今日は、グルグルさん(50代・主婦)
のご相談にお答えします。

【Q】
潰瘍性大腸炎を患い、15年。
悪化、寛解を繰り返しています。
今、また症状が良くなくて、いろいろ悩みます。

主人の両親と完全同居すること20年。
今、子どもは長女17歳、長男15歳。

同居してからは、様々なことがあり、
心身共に疲れ果てています。

病気を患ったのも、主たる要因が
同居に関わるストレスだと自分では思います。

何回となく、別居の話もしましたが、
様々な要因が絡み実現しませんでした。

医師には治らない病気と言われた慢性病。

治したい、と考えながらの毎日ですが、
体調が悪くなると、義母から離れたい、
顔も見たくないという感情が
強く湧き上がってきます。

同居してからの様々なことでの義母への腹立ちが、
ずっと消えないでいるのです。

「病気は自己に気づきを与えてくれるもの」
とも言われますし、
ある人に、病気が悪化したことを相談すると、

「ご自身の人生を歩くことをお勧めします」
と言われたりして、義母と離れたいという思いが、
ますます強くなるばかり。
しかしながら、現実的には不可能です。

義父は7年前に他界し、高齢な義母。
そして、実の両親も高齢で、
サポートする日々です。

思春期の子ども2人に、自営の主人。
その経理を担っている私。

他にも様々なことがあって、
別居なんて不可能なのに、離れたい、
離れないから病気が治らないんだ…と
考えてしまいます。

病気を治したい悩みと、不可能な別居をしたい
悩みとがグルグル巡り、体調不良や親の介護、
子育ての諸々… ストレスフルな毎日です。

解決策が見当たらず、ご相談させていただきました。

自分軸がないのでしょうか? 
でも、自分勝手軸になってはダメだし…
どうしたらいいのか、わかりません。

【A】
お姑さんに対してすごく嫌な悪感情があるにも
かかわらず、きちんとお世話しなきゃという気持ちも
どこかにある、そういう誠実さがあるから、
グルグルさんはものすごく辛いのでしょうね。

二重拘束、ダブルバインドと言って、
こっち側で縛って、こっち側でも縛って、
どっちつかずになってしまっている状態。

自分自身の病気も治したいし、
でも、お義母さんのこともケアしなきゃいけないしと、
二重拘束が起きてしまっていて、
これが苦しいのだろうと推察します。

そのようなストレス下での
グルグルさんのセルフケアについて、
「一気に全て」ではなく「時々ちょっとずつ」の
スモールステップで取り組むことをお勧めします。

続きは、ビデオでお話しします……

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shutterstock_1818491885

今日は、みなさまからのご相談への回答をお休みし、
川畑のぶこからのメッセージをお伝えします。

*  *  *  *  *

A:FROM 川畑のぶこ

がんのカウンセリング現場では、
主治医には伝えられない患者さんの悩みを多く聞きます。

告知を受けて、頭の中が真っ白になり、そのあとは
ドクターの話に頷いてはいるけれど、なにも覚えていない…

次の診察時に、もういちど詳細を尋ねると
「前回伝えたでしょう」と不機嫌に対応をされ、
そのまま遠慮して引き下がってしまう…

治療の選択に悩み、カウンセリングや、食事療法、
鍼灸や漢方やサプリメントなど、保険治療外のとりくみを
しているけれども、ドクターには否定されそうで言えない…

データより私の目を見て、人として向き合い、
脆い私を励ましてもらいたいけれど、
忙しそうでそんな要求は到底できない…

仕事は続けたいけれど、職場に迷惑をかけてしまうので、
やめた方がよいと考えている…

心配をかけたくないので、周囲に病気のことは伝えたくないけれど、
隠し続けるのも疲れる…

ふとしたタイミングに意識していないのに涙がワーっと溢れ出し、
何が何だかわけがわからなくなってしまう…

そんな姿を見た家族も本当は泣きたいのに泣けない…

このように、ただでさえ病気のことで落ち込んでいるところへ、
次から次へとふりかかってくる課題に圧倒され、
ついには心が折れそうになる患者さんも少なくありません。

サイコオンコロジー(精神腫瘍学=がんと心に関する医学)が
提唱され久しいですが、患者さんの心のケアは
一見進んだように思えるものの、実際の医療現場は多忙を極め、
患者さんのメンタルケアまで丁寧に行き届いているかと問われれば、
まだまだ限られていると言わざるを得ないでしょう。

患者さんも、いったい、何を信じ、何を疑ったら良いのか、
ネット検索などしたなら、あまりにも情報が多くて翻弄されてしまいます。

こんなケースがありました。

50代男性のがん患者Aさんは、妻がネットや書籍から調べた情報で、
毎日の食事を玄米菜食に切り替えました。
そして、砂糖や塩などの調味料も抜きました。

それまでは食べることが大好きなAさんでしたが、
病気になってからは、徹底的な食事制限がされるようになりました。

そのうち、まるで草を食べさせられているうさぎになった気分だと、
元気なさげに訴えるようになります。

さらには、それまでお腹がすいていたのに、
食事が目の前に出されたとたんに、
食欲がなくなってしまうような状態に陥りました。

すると、みるみる体重は減り、体力も落ち、意欲も低下して、
やがて、なんのために生きているのかわからなくなってしまい、
抑うつ状態に陥ってしまいました。

こんな、切ないエピソードはめずらしくありません。

哲学者アンリ・ベルクソンはエランヴィタール(=生命の躍動)
という概念を提唱していますが、まさに、命や心の躍動が
奪われてしまうと、生きる意味を見いだせなくなってしまいます。

幸い、この患者さんは夫婦カウンセリングの場で、
妻に死ぬ前に(死んでもいいから)コンビニのおでんが食べたい!と訴え、
妻もそこまで辛い思いをしていたとは思わなかったと折れました。

Aさんも、自分は患者でケアされる側(=弱者)であり、
仕事もしていないから、一生懸命看病してくれている妻に対して
文句は言えず、我慢していたことを告白しました。

このカウンセリングの帰り道、二人はコンビニに寄ったそうです。

そして次のカウンセリング、Aさんは満面の笑みで、そして張りのある声で、
「コンビニのおでん食べました!最高でした!」と報告をしてくれました。

エランヴィタール…彼には、困難を乗り越えて前進しようとする
エネルギーがみなぎっていました。

私たちは、その対象が何か、ということにはよく注意を払いますが、
それら対象と、どう関わるかという、関係性の健全性には
なかなか注意が向きません。

医療現場もしかり。
患者さんにデータの内容を伝えることは、いうまでもなく重要ですが、
目を見て「乗り越えられるようにがんばりましょう」と
穏やかに励ましてくれるそんな一言ある関わりがあったなら、
医療者と患者との治療関係そのものが
生命の躍動の源にもなりえるのではないでしょうか。

患者としてではありませんが、
私は幸い、そんな精神腫瘍医に出会うことができました。

一人は20代のとき、私のメンターであるカール・サイモントン博士、
そして二人目は30代のとき、
聖路加国際病院精神腫瘍科でお世話になった、保坂隆先生です。

病気に何が効くかだけではなく、
常に患者さんにとって何が良いかに目を向け、
心を開いているこのドクターたちに共通しているのは、
底知れぬ好奇心と洞察力と愛、そして、悪意のないユーモア。

関係性の医療として、先生のスーパビジョンのもと行われる
グループ療法では、ラウンドテーブルを囲む患者さんたちは、
泣いたり笑ったり、互いに支え合いながら、
それぞれにたくましく癒しの道を歩み始めます。

エランヴィタールが集うグループ場のちからです。
ソーシャルサポートは抗がん剤に勝るとも劣らない治療だと実感します。

ソーシャルディスタンスが叫ばれる昨今、
カウンセリングやグループ療法がなかなか思うように進行できませんが、
こんなときだからこそ目に見えないつながり、ソーシャルサポートの
ちからをいかに発揮するか、私たちの智恵が試されるのだとも思います。

年末年始、帰省を控え、家族と共に過ごす時間を
犠牲にされていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

実際に対面で会えなくても、オンラインで画面越しに顔を合わせたなら、
私たちの心は時空を超え、一瞬にしてつながることができます。

これもまた人類の授かった叡智なのでしょう。
ぜひ、そんな智恵を活用して
穏やかに温かな時間を過ごす工夫をされますように。

保坂隆先生とがん患者さんご家族のスペシャルZoomセッション開催
https://in.personalhealth.jp/WAOH210122_L_2000_DAN
 

★人生の核となる信念との関係性を整え穏やかに生きる〜
「サイモントン療法オンラインプログラム」開催のお知らせ
 川畑のぶこ(進行)
 一般・インターン向け:https://simonton-ip-2021-01.peatix.com
 がん患者さん・サポーター向け:https://simonton-pt-2021-01.peatix.com

4回シリーズ、11/20から始まっています! 「ホリスティック心理学講座」(講師: 川畑のぶこ)
 
  
ーーー
★あなたが今抱えている『悩み』をお聞かせください。
 ご質問はこちらから

FROM 川畑のぶこ

今日は、しらすさん(30代・看護師)のご相談にお答えします。

【Q】家族のコミュニケーションエラーについて相談です。

母は8年前に卵巣癌を患いました。ステージ4で度重なる抗がん剤治療や
新薬を使用して動脈解離を発症したり、抗がん剤の効きが悪かった部位を
手術で取り除いたけど、腹腔には小さくてとりきれないものがあること、
間質性肺炎を併発したこと、腫瘍マーカーがまた上がってきたりしたことで
憔悴しきっている状況です。

治療を休みたい。寿命が少し短くなってもいいから、家事ができたり、
旅行に行きたいと話しています。

私と姉は母が望むように生きてほしいと考えています。父と弟は、
効果があるのに、治療をしないのはよくないと母に話しているようです。

母は昔からた父に強く言われると自分の気持ちを押し込めてしまうところ
があり、私は母の気持ちが置き去りになってしまうのではと心配しています。

みんな母が大好きで、母を思う気持ちは同じなのですが、
支える家族が母の生き方をめぐってすれ違っているように感じます。

もちろん父と弟の気持ちは十分わかります。 ですが、母が家事をやろうと
してふらつくと、だから動くなっていってるんだ。などと言うことがあります。
心配しているのはわかるのですが、母の気持ちを思うと胸が苦しくなります。

母が望むような人生を送れるよう家族が同じ方向をむいてサポートできたら
いいと思い、話し合いをしたいと申し出ましたが、私は母の立場で話を
しすぎるのでわ父の気持ちや状況をきちんと考えて話しができないと思う、
と弟に危惧され話し合いには至っていません。弟のいうとおり、私が感情的に
なってしまいコミュニケーションが上手くいっていないのかもしれません。

どうしたら価値観の違うの家族と寄り添えるのかアドバイスしていただきたいです。

【A】
お母さんの気持ちもお父さんの気持ちも、もちろん弟さんの気持ちも、
理解できるしらすさん、とっても苦しいですね。

今日のテーマは、真のサポートとは何かということになるのかなと思います。

私たちは誰かが困っていたり、愛する者が病気になって苦しんでいたりする
ときに力になりたい、サポートしたいと思いますよね。

そして、このとき、どうしても自分が相手に出してほしい結果をサポートして
しまいがちです。でも、真のサポートというのは、自分が相手に出してほしい
結果ではなく、相手が真に出したい結果をサポートすることなのです。

今回のケースでは、治療はさんざんやってもう十分、よりよく生きたい、
命が長くなることよりも残された人生を少しでも豊かに気分よく、清々しく
生きたいというのがお母さんの本当にしたいことであれば、これを支えると
いうことが大事になってきます。

じゃあ家族は言いたいことを言ってはいけないのか、自分のニーズを伝えては
いけないのかというと、そうではありません。家族が自分のニーズを押し殺して
お母さんと向き合っていくのは、それはそれでストレスになりますね。

なので、言いたいこと、思っていることは伝えてもいいのです。
その際、伝え方というのがとても大事になってきます。

続きは、ビデオでお話しします……

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200727

こんにちは。川畑のぶこです。

今日は、ネネさん(60代・主婦)のご相談にお答えします。

~~~~~~~~~~~
こんにちは。3年前に脳腫瘍手術をして、命を助けてもらいました。

今は普通の生活ができている事に感謝しています。
しかし、術後すぐに始まった顔面麻痺の1年に及ぶリハビリの甲斐もなく、
3年間ずっと左半分は麻痺しています。

痛みや気持ち悪さもあるので、治った!とはいいがたく、
一人頑張ればいいのかなと思う毎日です。

執刀医は「気にしないで生活して」と言ってくれます。
命を救って下さった先生だから、それ以上は何も言えません。

家族は主人と独立している一人息子です。二人ともとても優しいから、
なおさら、私はいない方がいいのではと死ぬことを考えたり、
夫には離婚しようと言いましたが、離婚できません。毎日が辛いです。

今はコロナの自粛もあり友人にも会えませんが、顔面麻痺を話しても、
家族と同じく「大丈夫よ」と言ってはくれますが、本当のところは
なかなか理解してもらえません。

ポジティブに頑張ろうという心が折れそうです。
何を信じていいかわかりません。

どのような心で余生を過ごしたらいいでしょうか? 教えて下さい。

喋らないで黙っていると、顔面麻痺はないように見えるらしいです。
~~~~~~~~~~~

ネネさん、大変ですね。顔というのは自分のアイデンティティだと
私たちは信じています。きっと毎日、鏡でご自身の顔を見ながら、
苦しい思いをなさっているのだろうとお察しいたします。

病気になると、今まで普通だったこと、当たり前だったことが、
ある日突然、失われてしまいますね。

特にがんというのは、ネネさんのように脳腫瘍で手術をしなければ
いけなかったというような状態であればなおさらのこと、ある日突然、
白から黒に転ずるような生活の変化をもたらすと思います。

それが、毎日自分が向き合わなければいけない顔というところに
このような苦しみがあるというのは、人生の質が低下したと感じて
しまうのも当然のことですね。

ネネさんが余生をどのような心持ちで生きていったらいいのかということ
に関して、これは、私がネネさんに人生の何たるやを、おこがましく
語れる立場にはないのですが、がん患者さんたちから私が学んだことを
シェアさせていただければと思います。
 

続きは、ビデオでお話しします……

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151123

皆さん、こんにちは。川畑のぶこです。

先日、伊豆高原に行ってきました。温泉旅行に行ったわけではなく(笑)、
日頃私が提唱しているサイモントン療法の6日間の滞在研修があったためです。

がん患者さんやそのご家族を始め、サイモントン療法を学んでセラピストを
目指しているインターンの方たち、スタッフ、総勢50名近くのメンバーが集まりました。

そして、私たちの人生を振り返って、不健全なところは健全に直し、
よりよい幸せな人生を送るため、健全な日々を送るためにどうしたらいいかと、
皆さんと一緒に約1週間のプログラムに取り組みました。

私たちはいつも、がん患者さんが教科書で、学ばされてばかりなのですが、
今回参加の20名近くの患者さんたちからも、本当に学ばされるものがありました。

1日目には痛みが辛く、1週間もの座学が心配された人たちの中にも、
だんだん痛みがなくなり、笑顔を取り戻し、
6日目には日常生活に支障ないレベルまで緩和された方や、
あるいは痛みが全くなくなったという方が複数名いらっしゃいました。

また、家では食事が喉を通らなかった、体重も落ちて困っていたという患者さんが、
もりもりとご飯を食べ始め、ふらついていた足取りもだんだんしっかりしてきて、
最終日には体重が数キロ増えてお帰りになったという姿も目にしました。

私たちが本当に真剣に自分自身をケアしよう、敬意と愛情を持って接しようと、
取り組み始めたとき、どうやら「心の治癒力」のスイッチが入るようです。
このスイッチは、常に私たちの生体とも連動しているようで、
それを患者さんたちが見せてくれました。

もちろん、私もサイモントン療法はよいと確信して進めていますが、
毎回このように患者さんから、まざまざと結果を見せつけられて、
やはり人間の可能性というのは底知れぬものがあるなと、
未知なる可能性にいつも心がときめいています。

さて、今日はちょうどこのタイミングで、
「病気やがんが怖くて夜も眠れません」という、46歳の女性、けびん様から
ご相談をいただきましたので、お答えします。

~~~~~~~~~~~~~~~~

現在、46歳、娘(11歳)がいます。
将来ガンや病気になることに、恐れを持っています。
時々「病気になったらどうしよう」と眠れない夜も多々あります。

具体的にどういうことが怖いのかといいますと、
「死」が怖いというよりも、今あるものがなくなる
(例えば手術で胸を切除するなどで、今まで送ってきた生活が変わってしまう)、
抗がん剤による苦しみなど、想像してしまうと本当に怖いのです。

2年前にマンモグラフィで要精密検査の結果が出た時に、
精密検査までの一週間の間、夜も眠れませんでした。

精密検査の結果は異常なしだったのですが、
常にいつガンができたらどうしよう・・・と考えてしまいます。

こんな気持ちではいつか本当にがんになってしまうのだろうなと思い、
この恐れを消してしまいたいと思っていますが、どうしていいのかわかりません。

病気だけは運命で、なったらなったで受け入れるしかないと
頭ではわかっているのですが。

~~~~~~~~~~~

というご相談です。

私たちが「将来こういうことが起きたらどうしよう」と、危機感を持つのは
決して悪いことではありません。
病気になったらどうしようと想像するから、
今この瞬間きちんと健康管理をしようというマインドが働くからです。

ところが、けびんさんの場合は、
そのバランスがちょっと崩れてしまっているようですね。
過剰に心配し過ぎて、注意するということ自体が
恐怖や不安になってしまっているわけです。

まだ起きていないのに、あまりにも未来のことに重きが行ってしまうがゆえ、
しかもネガティブな思いで未来を埋めてしまうがゆえ、
「今この瞬間」が損なわれてしまうということが起きています。

病気は何かを失ったり、変化したりすることを伴います。
そして、そのことへの恐れは、多くの人が持つ苦しみです。

私たちの人生は無常ですから、一回手に入れたらそれがずっと続くということ
はありませんよね。生まれた以上は、老いたり、病んだり、死んだりしますから、
この無常さ、つまり常に変化するということに、いかにしなやかに適応していくか
ということが試されます。

キーワードは「信頼感」です。
冒頭で申し上げた「心の治癒力」にも、ぜひとも活躍してもらいたいところです。

そして、病気というのは、敗北の表れではないということを、ぜひ心に留めてください。
病気はメッセンジャーであり、道しるべ。
そのメッセージにしっかり耳を傾けながら歩んでいくと、恐れもなくなってくるでしょう。

自分が幸せに生きるにはどうしたらいいか。
より多くの喜びを感じて生きるにはどうしたらいいか。
それを常に意識し、時として方向転換すべきタイミングに、
そのきっかけをつくってくれるのが病気なのだ、と捉えられるようになると、
ずいぶん楽になれるはずです。

さあ、病気というものの受け止め方に、ぜひ変化を起こしてみてください。
けびんさんの免疫力や治癒力にもきっと変化が訪れますよ。

続きは、ビデオでお話ししています。
https://youtu.be/iRp9lgTZvvE

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