Q:川畑先生
今回は、質問があってメールしました。
先生のセミナーを受講したとき、
「集中しているより、ボーっとしている時の方が
脳はものすごくエネルギーを使う」
と教わったように思いますが、
そのことについて、もう少し詳しく教えてください。
疲れてボーっとしていると、
何かあんまり良い考えが浮かばない気もします。
なるべく何かに集中し、
ボーっとしていない方が良いということなのでしょうか??
【ハッピー・40代・看護師】
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A:FROM 川畑のぶこ
以前、講座にご参加いただいたとのこと、
学ばれたことを、ハッピーさんが実生活で活かそうとされている
ことが伝わってくるありがたいご質問です。
ご質問の、ボーッとしないほうが良いのかということに関しては、
ボーッとする質にもよる、ということになります。
たとえば、流れる雲や木々の葉の揺らぎ、
また寄せては打ち返す波を眺めながら
自然と一体となってボーッとしている、すなわち、
心が落ち着いて、リラックスしているような状態であれば、
それは問題ないどころか、好ましい状態です。
ただし、ボーッとしているときに、知らず知らずのうちに
過去のネガティブな体験を反芻していたり、
あるいは、まだ起きていない未来を心案じたりして
いるならば、また、次から次へと留まることなく
雑多な考えが巡るような場合は、好ましくない状態です。
このように、心があちこちにさまよう状態を
マインドワンダリングとかモンキーマインドなどと呼びます。
猿がひとところに止まらず、一つの木から次の木、
そしてまた次の木へと移動していくように、
頭の中を次から次へと思いが巡る状態です。
私たちの脳は、意識的な活動をしているとき、
たとえば、仕事をしたり、勉強をしたり、
計画を立てたり、計算をしたりなどしているときに
エネルギーを消費すると考えられていましたが、
近年の研究で、意識的な活動をしているときよりも、
意識的な活動をしていないとき、すなわち、
ボーッとしているときにより多くのエネルギーを
消費していることが分かりました。
脳が使うエネルギー全体からすると、
意識的な活動に使われるエネルギー量はわずか5%
程度なのです。脳細胞の維持や修復に20%が、
そして、残りの75%は意識的な活動をしていない
ときに消費されているといわれています。
このような、活動的な思考を行わないときに、
無意識に脳が行う脳内ネットワークの活動を、
デフォルトモードネットワークと言います。
このデフォルトモードネットワークが暴走すると、
体は横になっているのに脳内疲労が激しく、
疲れが一向にとれないのです。
ちょうど車のアイドリングのような状態で、
前進はしていないけれども、ふかし続けて
ガソリンをどんどん消費しているような感じですね。
デフォルトモードネットワークの暴走を抑えるのに
効果があるのが、マインドフルネスの実践です。
マインドフルネスは、
マインドワンダリング(心がさまよう)やモンキーマインドの反対で、
リラックスしているけれど、
身の回りに起きていることに丁寧に注意が払われ、
今、この瞬間に目覚めている心の状態をいいます。
マインドフルな状態をとりもどす、
具体的なアプローチとして基本となるのは、
マインドフルブリーズィングと呼ばれる、呼吸瞑想です。
非常にシンプルな瞑想で、取り組むことは、
基本的に呼吸に注意を向けることです。
吸いながら、入ってくる息に注意を払い、
吐きながら、出ていく息に注意を払います。
吸いながら、お腹や胸の膨らみを感じ
吐きながら、お腹や胸のへこみを感じます。
波は寄せては打ち返すように、
私たちの身体も母なる自然と呼応して、
吸っては膨らみ、吐いてはへこむ。
今、この瞬間、私たちを生かしている、
己の中に宿る自然の神秘に気づき、
やさしく微笑みます。
このような意識的呼吸を数分行うだけで、
あちらこちらに彷徨っていた心は、
錨をおろしたようにひとところに留まり、
今、ここ、私に帰ってきます。
すると、心が落ち着き、やがて
脳の疲労もとれてスッキリするはずです。
マインドフルネスの実践による効果は
さまざまなものが報告されていますが、
心の平安が取り戻せるのは大きな恩恵です。
ぜひ実践してみてください。
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