Q:発達障害の人との関わり方について相談させていただきます。
職場で一緒に働いている人に発達障害の方がいます。
その人は自分で病院に行って、
発達障害の診断をもらってきたといいます。
ひたすら「わかって欲しい」というような事を言うのですが、
わかったうえで、どうして欲しいのか。
という答えが返ってきません。
私「○○わかりますか?」
相手「わかりません」
私「○○ですよ」
相手「やっぱり」or「知ってました」等、
所々でカチンっとくる物言いをしたり、
言葉のキャッチボールができなかったり、
仕事も何度教えても同じ間違いをしたり、
そもそも覚えてるのか覚えてないのかもわからないし、
「覚えてますか?」と聞いても
言い訳のような返事しか返ってこないしで、
「「はい」か「いいえ」で答えて下さい。」
と何度も言ってもわかってもらえず。
少人数でやってる仕事で、お客さんにも迷惑がかかるし、
わかってあげたいですが、実際尻拭いをさせられ、
一緒に仕事をしている周りが疲弊していきます。
ひどい人間ですみません。
何かアドバイスを下さい。
【そらいろ・30代・会社員】
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A:FROM 川畑のぶこ
そらいろさんたちの努力も虚しく、
発達障害の同僚とのやりとりに苦慮されているのですね。
それでも諦めず、どうすれば良いかと相談される
そらいろさんの配慮は素晴らしいと思います。
発達障害の方の雇用に関しては、2016年度から、
事業主は過重な負担とならない範囲で障害者に対して
「合理的配慮の提供」が義務付けられています。
合理的配慮とは、障害のある方々の人権が
障害のない方々と同じように保障されるとともに、
教育や就業、その他社会生活において平等に参加できるよう、
それぞれの障害特性や困りごとに合わせておこなわれる
配慮のことをいいます。
2016年に施行された
「障害者差別解消法(正式名称:障害を理由とする
差別の解消の推進に関する法律)」によって、
この合理的配慮を可能な限り提供することが、
行政・学校・企業などの事業者に求められるようになりました。
ただし、そらいろさんがお困りのように、
現場レベルでの発達障害に関する啓発はまだまだ遅れています。
社員向け研修があるわけでもないでしょうから、
彼ら彼女らの言動が病理によるものととらえきれずに、
本人の性格の問題や親の育て方の問題などと
とらえられてしまいがちです。
発達障害は親の育て方が問題なわけでも、本人の性格の
問題でもなく、神経学的な病理によるものです。
私たちは先天的に身体的な障害を持っている方たちには、
それが可視化されていることもあり、配慮をしやすいですが、
発達障害の中でも、
おそらく今回のご相談内容に該当するであろう、
アスペルガー症候群のような
知能は人並みかそれ以上に高いのに、
コミュニケーションや対人交流などがいびつな方たちの
障害に関しては、目に見えないこともあり、
配慮が行き届かない傾向があります。
そらいろさんのケースでは、
ご本人が診断の開示もしてくださっているので、
今回のご相談のように
どうすれば良いかと、次のステップに繋がっていますが、
そのことが理解されずに、
ひたすら批判や非難を受けて、職場に適応できなくなり、
中にはうつや引きこもりなどを併発するケースも珍しくありません。
発達障害の方への配慮に関して、
以下は、厚労省、都道府県労働局、ハローワークによって
紹介されている、事業主の方向けの職場における事例紹介
がありますので、ぜひご参考ください。
これは発達障害の社員を雇用している
事業主による報告をもとに作成されたものです。
【業務の指示に関して】
・予定などが急に変更されると混乱して
仕事に専念しにくくなるとのことなので、
スケジュールはなるべく早く伝えるようにしている。
・口頭で伝えただけでは忘れてしまうことが多いので、
指示事項などを紙に書いて渡したり、
ホワイトボードに記載したりしている。
・複数の者から指示をすると混乱するため、指示系統を統一し、
本人に二重に指示が伝わらないようにしている。
・同時に複数の作業を指示すると混乱するため、
一つの作業が終了してから次の作業の指示を出している。
また、工程数の多い作業は、
一つ一つの工程に分けて指示をしている。
・「だいたい」「おおよそ」などの曖昧な指示では、
正確な作業遂行に至らない場合があるので、
数値化するなど、指示を具体的に出すようにしている。
【作業環境など】
・周囲の視覚的な刺激に反応しやすいということだったので、
集中して作業ができるよう、
席にパーテーションで仕切りを設けている。
・データ入力を得意としているため、
手書きの書類をパソコン入力で処理できるようにした。
【コミュニケーション】
・困っていることがないか、上司から声かけをして
話をきくようにしている。
・あいさつ、会話が適切にできるよう、
周りの職員から声をかけている。
・本人の話について、周りの職員が
「○○ということですか?」と復唱して
お互いに確認するようにしている。
・人との関わり方やコミュニケーションの取り方、
会社のルールやマナーについての研修を行った
(他の職員も一緒に受講)。
【休憩時間】
・声かけをしないとずっと仕事をし続けるため、
休憩時間には声をかけて休憩を促している。
・昼食時の雑談が精神的負担となるという
本人からの申し出があったため、
空いている会議室などで
一人で昼食をとることを認めている。
【通院等のための休暇】
・シフトを調整し、受診日は優先して
休みが取れるようにしている。
【同僚などへの配慮】
・本人が希望すれば、他の従業員が本人の障害を理解できるよう
職員研修を実施し、本人から直接、自身の障害特性や
希望する配慮について説明をしてもらっている。
・担当管理職が、
発達障害のある職員が所属する部署内の職員と
個別に話す場面を意識して作り、周りの職員が
ストレス・不満を感じていないか気配りしている。
以上、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
「発達障害のある方への職場における配慮事例のご紹介」
よりご紹介いたしました。
これらを参考にしつつも、
発達障害のある方の特性一人一人異なるため、
必ずしもそらいろさんの職場や、
全ての方に有効な配慮であるとは限らないことも念頭に入れて、
職場の状況を考慮し、ご本人との話し合いを十分に重ねて、
どのような雇用管理を実施するのが適切なのか、
十分に検討されることをお勧めします。
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