Q:主人の仕事の都合で20年間、日本を離れて暮らしておりました。
子供の高校進学を機に日本へ戻りました。
子供達は日本で暮らした経験がありません。
在外公館附属の日本人学校へ通学していましたので
言葉や勉強については日本語で大丈夫です。
しかし日本のルールやマナーに慣れ親しんでなく、小さな壁にぶつかり
一緒に連れて来た小学生の弟は不登校になりました。
そして念願叶って志望校に入った兄も
体調を崩してしまい、学校に行けなくなりました。
三月の半ばには出席日数不足で進級が出来なくなり
本人の希望もあり退学をしました。
二人共家に居てパソコン、ゲームと時間を潰す日々です。
生きているから素晴らしいですが
何かやりたい事を見つけて欲しいです。
【笹の葉・50代・主婦】
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A:FROM 川畑のぶこ
たとえ言葉が話せたとしても、
生まれ育った文化と異なる文化で生活をすることは、
大きなストレスを強いるでしょう。
息子さんたちも彼らなりにとても頑張っていることと思いますし、
そんな息子さんたちを支援する笹の葉さんも一緒だと思います。
弟くんは、子どもらしく素直に反応したことでしょうし、
ご長男は適応する努力を続けてきたけれども、無理が続いて
張り詰めた糸がぷつんと切れてしまった状態ではないでしょうか。
親からすると、子どもが学校に行けていないことは
大きな不安をもたらしますが、
その不安がどこから来るかといえば、
我が子が将来社会に適応しながら幸せに生きて行くことが
できなくなるという思いからではないでしょう。
まず、学校に通う理由を考えてみると、主に2つの機能があると思います。
まずは学力を身につけること、
そして、集団生活による社会性を身につけることでしょう。
学力に関しては、現代は通信教育も発展していますし、
海外ではあえて学校にいかず、
家庭で学習するホームスクールという概念もあります。
学校はあくまでも選択肢の一つということですね。
ご長男さんは、志望校に合格した過去を見ても、
十分な学力はあるでしょうから、
あとは本人がやりたいもの、なりたいものに意識を向けて、
そこに対する学びを独自に深めていくことで、
人生を切り開いていくことは十分可能ではないでしょうか。
文部科学省は教育の目的に
一人一人の能力・適性、興味・関心等に応じた教育
というものを掲げていますが、
集団生活は時として個性を育む場としては
阻害因子となってしまうこともあります。
一人または少人数での空間や時間の中で
個性を萌芽させていく人もいるのです。
自分のアイデンティティーを模索する、モラトリアムな青年期というのは、
決して無駄ではないと思います。
ご長男はこれまで小中学校では
集団生活をしてこられているわけですから、
これからは通常の学校教育以外で、
彼なりの能力、適正、興味、関心、すなわち個性を伸ばすチャンス
と捉えてみるのはどうでしょうか。
私のクライエントさんには、角川氏が創設したオンライン高校、
N高等学校( https://nnn.ed.jp/ )などを
活用している学生さんもいます。
もちろん、日本国内の教育システムにこだわる必要もないでしょう。
海外のオンラインスクールで日本にいながら学ぶことも可能ですし、
環境が許すなら、ボーディングスクールなどを活用して
海外に留学することも可能です。
弟さんも学力に関してはお兄さんと一緒ですが、
学童期の集団生活に関しては、
学校に行きたくなくなった理由を確認して、
その要因から解放された場で社会性を身につけることは十分可能です。
たとえば、彼のふるまいが一般的な日本人のそれと異なるという理由から、
からかわれたり、差別的な言葉を浴びさせられたということが
不登校の原因であれば、その要因から解放された場、
たとえば別な学校であったり、フリースクールであったり、
インターナショナルスクールであったり、学校でなくとも、
個別指導塾や習いごと、また定期的な行事などでも人との関わり合いを
大切に育んでいくことは可能ですね。
今の学校と連携をとりながら、
あるいは支援学級などを活用する方法もありますが、
無理に目の前の既存システムに我が子をはめ込むことで、
彼らの個性が死んでしまい人生を楽しめなくなってしまうのは
最も避けなければいけないことでしょう。
相談に関しては、不登校支援センター
( https://www.futoukou119.or.jp/ )などを
定期的に活用することなどもおすすめです。
学校の果たす機能を、
子どもたちが直近で所属していた学校で得ることにこだわらず、
視野を広げて、またスパンも長期的なスパンで受け止めながら、
さまざまなシステムを有効に活用して、
しなやかに対応することを心がけてみてください。
また、息子さんたちができていないことばかりに目を向けず、
そのような中でも出来ていることがたくさんあるはずですから、
そこにも均しく目を向けて、称えるようにしてください。
たとえ思い通りでなくても、開ける道は必ずあります。
また、何があっても、いつもお母さんは
やさしいまなざしで僕らを見守ってくれていたという経験は、
彼らの安心感にも繋がるでしょう。
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