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【コミュニケーションが苦手な娘について】
   
Q.高校一年の娘のことでご相談があります。
娘は小学校の頃は友達もたくさんいて、楽しく学校に通っていました。

中学に入ると、小学校時代のお友達以外とは
あまり親しくなれないようでした。
初対面の人には自分から話すことが出来ず、
話しかけられてもただ頷いたり、小さい声でしか話せない状態でした。

高校受験の面接の練習でも先生の目を見て話すことが出来ず、
先生にも心配していただいて何度も練習していただき、
何とか高校は入学できました。

高校に入学したものの、
新しい友達が欲しいと本人は思っているのですが、
自分から話しかけることが出来ず、未だに友達が出来ません。

お弁当を食べる時も
一度は誘ってもらって、一緒に食べたのですが、
その後は誘われなくなり、今はずっと一人で食べています。

最近では授業中に当てられると、
答えがわかっていても、声が出せなくなり
皆に迷惑がかかっていると落ち込んでいます。

このようになってしまったのは、
やはり私たち親の育て方が間違っていたのだと思います。

一人娘で甘やかしたことが原因でしょうか?

父親は、娘のやることなすことに干渉し、
私から見ると本当に口を出し過ぎだと思われます。

一から十まで言わなければ出来ないんだとか、
このままだと(今のコミュニケーション出来ない状態では)
ニートまっしぐらだとか言います。

本当にこのままでは、将来が心配です。

どのように対処すれば良いのでしょうか?

【メロンパン・50代・パート】

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A:FROM 川畑のぶこ

メロンパンさんの娘さんへの心配と愛が伝わってきます。

多感な時期だし色々ある、と頭では分かっていても、
苦しむ我が子を目の前にすると、
もどかしさと切なさを感じてしまうことと思います。

娘さんが中学くらいから大切な場面で
コミュニケーションがうまくできなくなってしまったとのこと。

思春期は周りの目が気になりだす時期でもあり、
素の自分をなかなか出せなくなってしまう時期でもあると思います。

初対面の人や面接、発表などの場面で
声が出なくなってしまうとのことで、
声帯に器質的な異常がなく、
緊張する場面で声が出なくなってしまう場合、
心因性失声障害の症状の可能性もありますので、
もしこれまで受診しておらず、
同じ症状が何年も続いているようなら早めの受診をお勧めします。

心因性失声障害は、そのメカニズムはまだ明らかにされていませんが、
傾向として、心に傷を負っていたり、過度のストレスを抱えたり、
過緊張の人に好発するといわれており、
普段は平気なのに、緊張場面で声が出なくなってしまいます。

娘さんも、失敗したくない気持ちや、
人からどう思われるかと評価を気にするばかりに、過緊張になり、
声が出なくなった可能性もあるのではないかと思います。

心理的なアプローチとしてできることは、緊張を和らげるのに、
リラックスして楽しめる時間を多く持つように心がけたり、
自分の弱さやいびつな部分も、「そんなこともあるよね」と、
やわらかに受け入れる姿勢を育むことが大切です。

「正解」を発するのではなく、
自分の複雑な気持ちだったり、いびつな感情だったりを、
そのまま素直に伝えることも大事です。

もしかしたら娘さんの友達は、娘さんが話さないのは
彼女らに興味が無いか、あまり関わりたくないから、と
自分たちに対する評価を否定的に受け止めているかもしれません。

「ほんとうは、友達と楽しく過ごしたいのに、
緊張して話せなくなっちゃうんだよね」
と自分の不器用な部分を率直に打ち明けておくことで、
相手は自分(たち)が避けられているわけではないということを理解でき、
安心して、さらには娘さんのそのような部分も配慮して
仲間として受け入れる可能性はあります。

また、全員に受け入れられようとせず、たった一人でも、
そのような思いやりもって関わり合える友達ができれば十分、という
心構えも娘さんを楽にしてくれることと思います。

家族も同様に、過干渉は「ねば・べき」思考に陥ってしまい、
素の自分の否定につながって、
緊張とストレスをもたらすことがあります。

家族がどうであれ、自分を持っている子もいますが、
娘さんは繊細で親の態度から影響を受けやすいことと思います。

「あなたはどう思う」「なるほどね」など、
彼女の意見を尊重したり承認したりする態度を心がけてみてください。

思ったことや感じたことを素直に表現しても、
「私は受け入れられている」と感じられる家庭環境を整えることは
娘さんの自己受容に大きな役割を果たすでしょう。

「完璧でなくても、失敗しても、あなたは大切な存在です」
というメッセージが言語的にも非言語的にも
周囲からコミュニケーションされ、なにより娘さん自身が
自分にそう言ってあげられるようになるといいですね。

心因性失声障害の治療には、
行動療法、薬物療法、心理療法などがあります。

行動療法は、医師や言語聴覚士などとの連携で、
緊張する場面で「んー」とか「まー」とかと、
言葉ではなくハミングのような発声をして、
緊張していても声が出せることを確認していながら
徐々に発声できるように促すアプローチがあります。

薬物療法では不安や緊張をやわらげる薬を用いることで、
いつもなら緊張で声がでない場面でも声が出せるようになり、
そのような成功体験を重ねることで自信を持って話せるよう
促すことができます。

心理療法は、ものの見方や考え方をより柔軟で健全なものに
していく認知療法や、暗示療法などが有効とされています。

ぜひいちど、メロンパンさんもご一緒に
娘さんと心療内科や精神科を受診して、
治療に取り組まれることをお勧めします。

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