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FROM 川畑のぶこ
 
―生き残る者とは、強い者でもなければ、知性のある者でもない。
変化に適応できる者が生き残るのだー

ダーウィンの言葉として世に紹介されている有名な格言です。

生物は自然淘汰されながら進化していくという学説は
あまりにも有名ですが、この説得力ある言葉には
ハッとさせられる人も多いことと思います。
私もそんな一人でした。

ちなみに、先日子どもが受験を検討している学校の校長先生も、
説明会の壇上に大きく投影されたパワポ画面いっぱいに、
ダーウィンのこの格言を紹介していてました。
(そして私も「そうそう!」と頷きまくっていました)
 
がしかし、実はダーウィンはそんなことは言ってないのです。

しばしば偉人は、
「誰それがこう言った」なんて使われてしまうことがありますが、
調べてみると 、「いや、そんなこと言ってねーぞ」
なんてことが結構あるものです。

権威の言葉を借りることで自説が説得力を増すため
(なので私もよく引用しますが)、
とりわけ、メディアやビジネス畑などでは、
さまざまな情報が都合よく解釈、編集、
ときとして歪曲されたりしている印象があります。

研究畑に足を踏み入れるようになって、
なにかと情報の出処を調べるクセがつき、
今回も原著を引っ張ってこようと調べてみると、
引用元とされているThe Origin of Species(種の起源)に
そんな一文は見つけられないのです。

で、“False”(誤り)のキーワードをつけて検索すると、
ケンブリッジ大学のダーウィンの書簡プロジェクトなる
サイトにたどり着きました。

↓↓↓気になる人はどうぞ
https://www.darwinproject.ac.uk/people/about-darwin/six-things-darwin-never-said/evolution-misquotation

「ダーウィンが決して言っていない6つの格言」のテーマに、
当格言がしっかり含まれていました。

なぜ、このような格言がダーウィンのものとして流布されたか
の経緯が書かれていますが、
もともとは1963年、ルイジアナ州立大学の経営学者で
マネジメントとマーケティングの教授であるメギンソンが
ダーウィンの種の起源に独自の解釈を加えて著した内容のようです。

それが、あちらこちらで引用されるようになり、
USA Todayなどアメリカの大手新聞もダーウィンの言葉として
紹介していますし、カリフォルニアの科学博物館の石床にも
Charles Darwinの格言として刻印されて(しまって)いました。

ここまで世を巻き込むとは、
さすがはマーケティングのプロと言わざるを得ません。

私達はシンプルで覚えやすいフレーズは
心に刻印されやすく、影響を受けやすいのです。

サウンドバイトと呼ばれる、政治家などがよく使う
シンプルで繰り返されるフレーズ(たとえば、有名な“I Have a dream…”)
などは主張を印象づけるのに有効と言われています。

かくして、ダーウィンのものとされた、実際は経営学者による言葉は、
淘汰されずにある種進化してサバイブしたのですね。

もちろん、誰が言ったに関わらず、
普遍性を秘める要をついた内容であるからでしょう。

進化の過程で生き残る言葉や概念というのは、ポイントが明確で、
シンプルで、繰り返しやすいものなのかもしれません。

これは、概念が時代に適合したというより
むしろ、どの時代や過程にも適応しやすい概念ということでしょう。

これは断捨離の概念に通じるものがあります。

無常なこの世で、大切なものを見極め、守りつつも、
常に変化に柔軟に対応する=生き残れる心を育むことが大切ですね。

ちなみに、今年の断捨離祭りのテーマは「現状打破」です。

現状にしがみつかず、変化に柔軟に対応する心を共に育みましょう。

– 川畑のぶこ

 
 
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