FROM 川畑のぶこ
みなさんは、「習気」という概念をご存知でしょうか?
「じっけ」と読むのですが、仏教の概念で、
煩悩を起こすことによって心の中に印象づけられた
慣習的な気分や習性とされています。
これによって私たちの思想や行為などが生じることから、
種子(しゅうじ)とも呼ばれるそうです。(コトバンクより)
習気とは、分かっちゃいるけどやめられない、
心のクセのようなものですね。
これに似た心理学用語に「ドライバー」というものがあります。
心理学の中でも交流分析という分野があるのですが、
その大家で、私もアメリカでトレーニングを受けた
臨床心理学者ケーラーによって提唱された概念です。
ドライバーとは、私たちの心を無意識に「駆り立てるもの」
という意味があります。
幼少期に親から受けるメッセージによって、
このドライバーが確立され
私たちの行動に影響を与えていきます。
ドライバーは、ものごとを効果的に前進させるのに役立つ
ことがある一方で、過度に発動するとストレス化に陥らせ、
人生の質を損なってしまう、諸刃の剣です。
さて、どんなメッセージによりドライバーを身につけるのか、
今朝の我が家のシーン、私と息子とのやりとりから
紐解いてみたいと思います。
●息子「ママ、はい、昨日のテスト」
私「おっ!おしい!あと2点で100点じゃん!」
→『完璧であれ』ドライバー発動中
●(制服に着替える息子をみながら)
私「はい、ダラダラしないで、テレビ消して着替えに集中する!」
息子:セカセカ着替え始める
→『急げ』ドライバー発動中
●息子「はい、これキオスクでハイチュー買ったレシート」
私「お友達にも分けてあげたの?」
→『喜ばせよ』ドライバー発動中
●息子「あぁ~、クッキー(犬)に引っかかれたー」
私「そんなことでいちいちグズらない」
→『強くあれ』ドライバー発動中
●息子「あー、学校の宿題やだ。やりたくない。意味不明。」
私「他の子たちも頑張っているからね。」
→『努力せよ』ドライバー発動中
この背景には、私自身、
朝の業を、とっとと(=急いで)全て(=完璧に)終えて
職場の同僚に迷惑をかけない(=喜ばせ)よう、
早起きもして(=努力)文句言わずに(=強く)進める
という、心理的に駆り立てられた背景があります。
代々脈々と受け継ぎ、
しっかりバトンタッチしているわけですね(^_^;)
くり返し、適度であれば問題ないものの、
常に駆り立てられていると心は疲弊してしまいます。
この自分を駆り立てているものの正体を
把握することができると、
たとえ、突っ走ってしまっても、
「やっちゃっている」自分をどこかでもうひとりの自分が
冷静に観察できるようになります。
また、その状態から降りるオプションがあると知ることで、
楽になれます。
自分を俯瞰できる、いわゆるメタ認知の状態です。
駆り立てられ、その状態に乗っかっては降り、
また駆り立てられて乗っかっては降りる。
これが上手にできるようになると、
人生にしなやかさが増してきます。
私もとりわけ執着が出やすい息子とのやりとりでは、
このメタ認知が試されてるばかりで、日々精進です。
ムクムクっと種子から芽が出てきたら…
そこへは水やりをせず、
呼吸に帰り=我に帰ることから始めることにしています。
ぜひみなさんもドライバー発動時には
ぜひ一呼吸おくことから始めてみてください。
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