FROM 川畑のぶこ
神田沙也加さんの急逝のニュースに
多くの人がショックを受けていることと思います。
私も大きなショックを受けた1人です。
今年は息子がミュージカルキャストを務めたこともあり、
勉強も兼ねて親子で多くのミュージカル鑑賞に行きました。
神田さんは類稀な才能を持つミュージカルスターで、
ディズニーの名作「アナと雪の女王」のアナの声優や
歌唱も務めていましたから、
多くの子どもたちの憧れでもあったことと思います。
私と息子も、冬休みに
「アナと雪の女王」のミュージカルを観劇する予定で、
いずれ彼女の主演作を観劇したいと思っていました。
息子のミュージカルキャスト仲間には
彼女の作品を観劇したばかりの人もいましたので、
周辺は深い悲しみに包まれています。
人の内面的な悩みは、
周りの人からは理解できないものです。
職業柄、役者であればなおさら、社会的な顔も
徹底して演じることができるかもしれませんし、
内面の苦しみに周囲が気づかないままになることも
あるのかもしれません。
心理学者のユングは、
人間の心理的な闇の部分をシャドウという概念で説明し、
光が強いほどに影が濃くなるように、
無理に明るさを保とうとすればするほど、
抑え込む闇も深くなると説いています。
彼女の抱えていたものの大きさは
ご本人にしか分かりませんが、
そんなシャドウの概念について
あらためて振り返っています。
今はただ神田沙也加さんのご冥福を祈るばかりです。
人生で困難に直面したときにどのような姿勢で
前進したら良いのかということについて、
これまでにも「レジリエンス」について記事を書いたり
お話しさせていただいていますが、
今回、改めて少しまとめてみます。
レジリエンスとは、
精神的な弾力性や回復力という意味で、
困難や逆境、トラブル、強いストレスなどに直面した際に、
うまく適応する能力やプロセスのことをいいます。
レジリエンスの反対はリジッド(rigid)
または、リジディティ(rigidity)となり、
頑なさや硬さのことを言います。
すなわち、心理的な頑なさや思考の柔軟性や
融通性がないことを指します。
レジリエンスを高めるには、
我慢強かったりタフでいることではなく、
心のしなやかさを身につけることであり、
それは不確かな状況とうまくつきあうことにつながります。
数々の成功者を取材してきたジャーナリストのD.L.Coutuは、
ハーバード・ビジネス・レビューに
レジリエンスの高い人物は
次の3つの特徴があると記しています。
1.現実をあるがままに受け入れている
2.起きていることに意味を見出す力を持ちそなえている
3.創意工夫が習慣化されている
私が人生で困難に直面したときに手に取る本のひとつに、
ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」があります。
ナチス支配下の強制収容所という、
自分一人の力ではどうにもならない極限的な状況の中でもなお、
しなやかに生きていた人が存在することが記されています。
次の文章は夜と霧の中に出てくる一節です:
「収容所では人間が最も原始的な状態にあったにもかかわらず、
優しい言葉をかけたりパンのひとかけらを他人に与える人、
夕日の美しさにうっとりする人たちが
少なからず存在していたのだ。
精神的に高い生活をしていた人間には、
恐ろしい周囲の世界からの精神の自由と
内的な豊かさへ逃れる道が開かれていたのだ。
そのため繊細な性質の人間がしばしば頑丈な体の人々よりも、
収容所生活をよりよく耐えたと言うパラドックスが生じた。」
彼は、人の主要な関心事は、
快楽を探すことでも苦痛を軽減することでもなく、
『人生の意味を見出すこと』であると説きます。
人生の意味を見出している人間は、
苦しみにも耐えることができると。
これは彼の提唱するロゴセラピー(=意味療法)
の治療観にも現れています。
このように、その好ましさに関わらず、
起きていることから何かを学び取る姿勢を
私たちが育むことができたなら、
そして、本質的にそのような力を持ち備えていること
を信頼できたなら、荒んだ私たちの心の中に、
希望の芽が息吹くのでしょう。
希望とは、可能性にかかわらず、
望ましい結果が得られうるという信念なのですから。
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