Q.いつもメルマガありがとうございます。
今日は最近私が感じていることについて相談させてください。
それは、「人生100年時代」という言葉。
正直この言葉を聞くと絶望感を感じてしまいます。
「老後に家族に迷惑をかけないように」といった、
長生きリスクを考えた台詞を聞くたびに悲しくなります。
学生のときは、死ぬときに思い残すことがないように、
必死に生きてきました。
その結果、就活、結婚、出産、家の購入など、
大きなライフイベントはだいたい終え、
やりつくした感があります。
今後のことを思うと、長いな……とため息が出ます。
子供はかわいく、ささやかな幸せは感じていますが、
毎日、仕事と育児、家事を繰り返すことがつまらなく感じられ、
今後は何を目標に生きればいいのか
わからなくなってしまいました。
実家の両親は年をとればとるほど仲が悪くなっています。
周りの家族を見ても、
あまり「うらやましい」「こうなりたい」という家族がいません。
どうしたらいいでしょうか。
【メイ・30代・会社員】
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A:FROM 川畑のぶこ
人生50年と言われていた時代から一気に倍の100年になり、
年齢の価値も昔とは大きく変わってきましたね。
メイさんは悔いのないように人生を生きようと、
多くのことを成し遂げてこられたのですね。
「長いな」と思うのは、
もしかしたら走りすぎたせいかもしれませんね。
臨床心理学者で元文部科学省長官の故・河合隼雄氏が
生前、高野山医療フォーラム
「生と死が手を繋ぐには」に登壇された際、
つぎのようなことを話されていました。
彼が子どもの頃は、人生50年と言われていたので、
50歳まで生きることを目指していた。
ところが、50歳になってみると、
平均寿命は80歳になっていた。
これは手放しでよろこべることなのでしょうか?と。
これは、500メートル走と聞いて
必死にゴール目指して走っていたのに、
ようやく500メートル地点にたどり着いた途端、
「すんません、 今年から800メートルになりました」
と言われているようなものではないかと。
ただし、付け加えて、もしその500メートルの過程が
穏やかで楽しいものであれば
伸びることは好ましいことだけれど、
苦しみばかりがあるのならただ伸びてもしかたがない。
大切なのは、命の長さではなくて
人生の質ではないかとおっしゃっていました。
また、私自身、臨床でがん患者さんと接する中で、
人生で後悔することを尋ねると、
多くの人は「もっと自分を大切に生きればよかった」
とおっしゃいます。
そしてもし、命が永遠なら…というと
多くの方は永遠は長いとおっしゃるので、
100年だったり200年だったら?と尋ねてみると、
「もっといろいろなことをスローダウンして
ゆったり過ごしたい」とか、
「もっとたくさん寝る」とかといった答えが
多くの人から返ってきます。
みなさんお疲れなのですね。
これはメイさんも参考にされると良いのではないでしょうか。
私たちはこれまで短時間でより多くのことを達成し、
生産性を高め、他人の目に見えるかたちで
成果を出すことに邁進してきました。
これからは、他人の評価ばかりでなく、
メイさんはささやかとおっしゃるかもしれませんが、
リラックスしたり休息したり、
子どもや美しい自然と触れ合う時間などを究極の価値と定めて
ご自身の時間を大切にされると良いのではないでしょうか。
人生が延びた分、ぜひこのように価値観を再構築して
ご自身の日々に潤いをもたらすように工夫をされてください。
また、私たち一人ひとりの内に
そのような智慧が宿っていることも信頼してください。
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