Q:30年間、絵画造形教室を主宰しています。
この数年、丸投げ(ご家庭との連携ができない)
の保護者が増え困っています。
特に手のかかる1年生の女児がおり
その子がいうには
「家では危ないから汚いからと制限されている」
とホッチキスも家では使えないというので
「もう安全に使えますので
ご自宅で自由に使って大丈夫です」
とお伝えしたところ
「共働きで忙しく家では出来ないから通わせているのに
家でもと強制されるのはおかしい」や、
「紐の結び方や基本的な躾までできるまで教えて欲しい」
など主旨とは違うことを要求してくる保護者の対応に
悩んでいます。
「忙しいからみてやれないから任せて何が悪い?
お母さんが全て躾けないといけないのか?」
挙句、先生方スタッフの言葉使いまで
(子供がそう言っていたと)指摘。
お辞めいただきたのですが
その言葉かけ次第でお子様に被害がいきそうで。
どのような声かけが安全に子どもを守れるのか
悩んでいます。
【カラー・50代・女性】
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A:FROM 川畑のぶこ
無理難題を押し付けてくる保護者さんがいる中で、
可能な限り対応しようとするからこそ生じる
カラーさんの苦しみと誠実さが伺えます。
共働き時代は、昔と比べて
習い事との関わりも
多様になってきていることと思います。
厚生労働省の統計によると、
1980年代では男性雇用者と妻が無業の世帯
は1114万世帯であるのに対して
共働世帯は614万世帯でした。
2000年ではそれが約半々になり、
2019年では完全に逆転して
男性雇用者と妻が無業の世帯は582万世帯、
共働きが1245万世帯となりました。
このような社会情勢を受けて、
家庭で保護者が子どもに手をかける時間というのは
圧倒的に少なくなっているのは
間違いないことと思います。
子どもの習い事のサービス内容も
そのような時代の流れとともに
変遷をたどっていることと思います。
市中にはお受験教室のように、
絵画にプラスして紐結びやしつけなども対応する
ような教室も出てきているのであれば、
そのような期待をもって
お子さんをカラーさんの教室に通わせる保護者も
いるのかもしれませんね。
かくいう私自身も、息子を
学童代わりにさまざまな習い事に通わせていた口で、
自宅では予習復習などまったくせず
(見てあげる暇もなく)、
毎回その場ですべて完結でお願いしますという
スタイルであったため、
先生方にリクエストや文句こそ言わないものの、
カラーさんのお悩み内容は耳が痛く申し訳ない思いです。
保護者との関わりに関しては、
教室の趣旨と保護者の求めることが明確に異なるので
あれば、そのことを丁寧に伝えることは大切です。
どちらが正しいかという議論に持ち込まず、
単純に提供できるものとできないものを
明確化するだけです。
その際、趣旨が異なることに加えて、
「そのような内容を現行の内容にプラスで
提供して期待に添えたらよいのだが、
申し訳ないが現状ゆとり(あるいは能力)不足で
期待に添えない」
と、率直にかつ謙虚に伝えると良いと思います。
また、しつけや紐結びなど教えてくれる教室情報が
あるなら、あらかじめ準備しておき、
そのようなところの情報提供や紹介をしてあげると
良いのです。
なければ、探したが見つけられず、
どうかご自身でお探しくださいと
お伝えすると良いと思います。
そのことで、親のニーズや子どものことを
誠実に寄り添おうとしてくれていることが
伝わると思いますし、
教室運営の自己正当化をしているわけではなく、
単純に提供しているものが違うのだということ、
ワケわかっていますよ、ということを
明確に示せます。
もし、カラーさんにある程度のゆとりができたなら、
近年の社会的なニーズの変化に
ご自身の教室が対応可能かどうかの検討を
してみるのも良いかもしれません。
躾とまではいかなくても、
紐結びくらいはいけるかな?など。
変わるということは、新たな価値観を身に着け
しなやかに善処することであり、
決して過去の自分の価値観を否定することでは
ありません。
過去の保護者の価値観のフレームを
現代の保護者に当てはめ続けると、おそらく
怒りや徒労感に苛まれてしまうことと思います。
保護者の要請の中にはモンスターペアレントや
クレーマーのようなものもあるかもしれませんが、
もし似たような人が増えてきている場合は、
もしかしたら、新たなマーケット開拓のチャンス
があるのかもしれないと切り替えて、
自分が提供できるものを見直すのもひとつです。
そのことによって、自分ができる範囲で、
現代人がかかえる問題を解決できたり、
喜びを与えたりすることができたなら
素敵かもしれませんね。
どうか無理はされずに、同時に好奇心をもって、
状況の分析をしてみてください。
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