Q:人の気持ちが理解出来ません。
私が良く言えば心が広いのかただ無頓着なのかわかりませんか、
他人はなんでこんなことで怒るの?とゆうことがよくあります。
それでKY扱いされて私も傷つくのですが、どうしたらいいのでしょうか?
【かりん・40代・派遣社員】
―――――――――――――――――
A:FROM:川畑のぶこ
今回のご相談内容は情報がかなり限られており、
全体像を把握するには情報がかなり不足しているため、
もしかしたらこれから提供する情報は
かりんさんにとって的外れの可能性もあることをご了承くださいませ。
(もちろん、これは今回に限ることではないのですが)
仕事はそつなくこなしているけれども、
人間関係がぎくしゃくしてしまい、コミュニケーションがうまくとれず、
周りから空気が読めない(KY)と言われ避けられてしまいがち。
傷ついて落ち込んでいるというクライエントさんは
臨床でもよくいらっしゃいます。
職場に限らず、人関係全般において
相手の気持ちが理解できず、
うまくコミュニケーションできないなどの困難を抱えている場合、
単なるパーソナリティーの問題ではなく、
ASD(自閉症スペクトラム障害 Autism Spectrum Disorder)
と呼ばれる障害の可能性も考えられますので、
今日はそのことについてお伝えします。
ASDは過去には広汎性発達障害と呼ばれており、
その中でもアスペルガー症候群というと、
聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
自閉症は基本的に
1)対人関係の障害
2)コミュニケーションの障害
3)パターン化した興味や活動
の3つの障害を持つのが特徴とされています。
過去には自閉症はとても稀な病気で、
知的障害をとの舞うものという認識が一般的だったと思いますが、
ASDはより広範なもの含みます。
ASDの人はとくに言語的な、または知的な障害は伴わず、
知能の高い人も多く存在します。
言葉自体は流暢に話すことができるので、
障害があることなど傍目にはまったくわからないことが多いのです。
身体に障害がある場合は
周囲がそうと気づくことで対処しやすいのに対して、
ASDの場合はそういかないのが問題を複雑化させる面もあります。
パターン化した興味や活動の項目では、
たとえばいつもの順番や段取りにこだわってしまったり、
会話の中で、自分の興味のあることは
相手がそれを楽しんでいるかどうかはおかまいなしに、
ずっと話し続けてしまうなどして
疎ましく思われてしまうことなどがあるかもしれません。
ASDは統計的には100人に1人くらいいるということが報告されていて、
性別では男女で4:1の発生頻度ですが、原因は不明で、
遺伝と環境の複合的な要因と考えらえられています。
子どもが自閉症になると
自分の育て方が悪かったのではと自責する親がいますが、
育て方との関係は否定されています。
現時点でこれといった治療法は確立されていません。
ただし、近年では脳神経学分野の研究が進んでおり、
さまざまなことがわかりはじめています。
たとえば、マウス実験では、ASDと同じ症状を持つマウスには
脳内の神経伝達物質のセロトニンが欠如していることが明らかになり、
セロトニンを投与したところ症状が改善したというものがあります。
私たちの脳内には内側前頭前野という、
まさに相手の心を読むことに関係する部位がありますが、
ASDの人ではこの部位の活動が弱いことが報告されています。
そこで、オキシトシンという愛情や信頼感を育むホルモンを投与したところ、
内側前頭前野が賦活化され、
相手の心を読みとる行動が増えるという研究結果もあります。
心理社会的な対策としては
ソーシャルスキルトレーニング(SST)と呼ばれる
社会適応のための訓練の場も提供されています。
相手の心は読めなくても、専門家や仲間達と一緒に、
このような状況下においてどのように行動することが相応しいかという
知識を学び、インプットし、ロールプレイなどを通して訓練しておくことで、
実際の現場でのより良好な人間関係に役立てられる可能性もあります。
ぜひASDやSSTなどでネット検索をしてみてください。
最後に、発達障害・支援センターのHPのURLを貼っておきますので
ぜひ参考にされてください。
http://www.rehab.go.jp/ddis/
ーーー
★あなたが今抱えている『悩み』をお聞かせください。
毎週水曜の「断捨離」メルマガおよび、
毎週月曜の「ココロの学校」メルマガで、
川畑のぶこがお答えします。
ご質問はこちらからどうぞ。
https://business.form-mailer.jp/fms/99a39ced23382